危機管理とは最悪の事態を想定すること

 先ほどのロイター通信によると、米国で23か月(1歳11か月)の赤ちゃんが新型インフルエンザで死亡したそうです。メキシコ以外の国で死亡が確認されたのはこれが初めてです。

 この事実はもはや新型インフルエンザによる死はメキシコに限ったことではないということです。もちろん我が国日本にも当てはまります。治療のたアメリカに渡ったメキシコ人とのことですが、日本にも様々な国籍の人たちが増えています。

 今日の東京新聞の特別報道欄で新型インフルエンザについての特集がありました。私もインタビューをうけました。私は「水際での封じ込めは意味がない。それよりも患者が発生した際の病院整備が不可欠」と主張したのですが、他の論者はもっと楽観的な見方をしていました。

 特に、SARSの際日本に入ってこなかったのは島国の恩恵による……趣旨の意見がありましたが、SARSが日本に入ってこなかったのはただ運が良かっただけだと思います。

 日本の感染症対策は世界に誇れたものではありません。結核はほかの先進国の十倍以上の新しい患者が発生しています。大都市ではネパールに匹敵します。HIV/AIDSが増え続けているのは主要先進国の中で日本だけです。同時にクラミジアなどの性行為にかかわる感染症も増えています。

 アメリカや欧米の感染症危機管理体制を日本に当てはめるのは大きな間違いです。むしろメキシコの体制に近いと考えたほうがよいかもしれません。

 メキシコにはWHOや米国CDCが入りましたが、日本は経済大国であり、WHOへの出資金も多いため、日本が好まない国際機関や米国の介入はないのです。今後有事の際にもないかもしれません。となれば、日本は文字通り「アジアの小さな島国」として国際社会から孤立することもありうるでしょう。この最悪の、そしてあり得ない話ではないシナリオを私達は十分認識しておく必要があります。

2009年4月29日