地方自治の現場の声:滋賀県湖南市長の声
本の出版に重ね、連日このサイトやメディアで発言させていただいている中で、さまざまなご意見、ご感想を寄せていただいております。この場にてお礼を申し上げます。
その中から、今回の新型インフルエンザに関する地方自治の現場対応の声として、滋賀県湖南市長から貴重なご意見メールをいただきました。
市長のご了解を頂いたので、ほぼ全文を皆様にもご紹介いたします。
2009年5月28日
<<<<<以下、滋賀県湖南市 谷畑英吾市長からのメッセージ>>>>>
滋賀県は、今回の新型インフルエンザの県内発生(5月20日)を受けて、すぐに患者の居住地である大津市と通学先である草津市だけでなく、近隣の守山市、栗東市、野洲市、そして湖南市までを感染拡大を防止するためにと称して、学校・園等の休業と行事の自粛を要請する地域としてマスコミ発表してしまいました。守山市や栗東市は隣接していますから理解できるとして、野洲市や湖南市は隣接もしていないのに要請対象とされました。県にその理由を聞いても積極的な答えが返ってきません。
事前に今回のインフルエンザは新型とはいえ病原性が低いという知見が示されていたので、大津市や草津市での発生に対しては、通常の学級閉鎖対応で行こうと教育委員会と決めていたのですが、一方的に発表されてしまったため、現場が混乱する、と苦渋の決断をしました。しかも、22日に厚生労働省が緩和方針を出したにもかかわらず、県は何の対策も打たないため、県の要請に基づいて今日25日も明日26日も市内の学校閉鎖は続きます(私も中学校1人、小学校2人の子どもがいますので、教育現場が混乱し続けているのは十分にわかっています)。
さらに、市役所職員で簡易検査の結果がA型陽性だった者が出たため、担当者にPCR検査の結果を県保健所へ問い合わさせると、逆に「どこからそんな情報を入手したのか」と担当者が怒鳴りつけられ(心配した職員本人からの申し出なんですが…)、市役所が発症第1号となると市民対策や現時点では業務継続検討など何かと大変なので(市民感情からも濃厚接触者のいた部署は一時閉鎖しなければならないのではないかなどあらゆる可能性を検討しました)PCR検査の結果を陰性であっても教えてほしいと頼んでも「件数が多いのにいちいち陰性結果まで教えられない(実際はここ1週間で6件しかありません(笑))」とけんもほろろ。県庁からは別ルートで保育所に対して注意文書が来ているにもかかわらず、本筋からは情報のかけらすら来ないというお寒い状況です。
今日は北朝鮮の核実験、ミサイルの話題が持ちきりですが、これも県庁から県の出先事務所に30分のタイムラグで送られた2つの情報が、さらに30分遅れて“まとめて”市に届く始末。まさに「危機管理」とはなんぞやということを考えさせられております。少し前にうちのロータリークラブの求めに応じて今回のインフルエンザ騒動について卓話をしました。湖南市のホームページ(http://www.city.konan.shiga.jp/cgi/info.php?ZID=9033)に載せてあります。専門家からは内容に少し誤りもあろうかと思いますが、現場のイライラであるとご理解いただければと思います。
こうした危機意識は、中央省庁の巨大な組織より、現場の小さな組織の方が共有しやすいと思います。そうした危機意識を持った自治体職員のネットワークも広がり始めています。まさに「連携とは信頼関係」だと思います。本当の危機が来た場合は、誠に困ったことですが、上位下達ではなく水平的連携で対応しなければならないのではないかと、思い始めています。
私は、日本において「空気」が醸成されてしまうと誰も反対できなくなるという現象に注目しています。そうした現場にであった場合には、できるだけ「水」を指す発言をして、「空気」を解消するように務めています。そうした人間が叩かれることは承知していますが、誰かが言わなければ後世に悔いを残すことになりますから、努めて発言するようにしています。