ヤンキーを匠に変えた男

 松浦元男氏を御存知でしょうか。2002年、世界最小の「100万分の1グラムの歯車」を生み出し、一躍脚光を浴びた樹研工業の社長です。松浦氏は会社を微小精密部門のトップメーカーに育て上げました。

 雇う人は先着順。年齢、性別、国籍関係なく受け入れるため地元の元番長などヤンキーも多く働いています。このバックグラウンドもはっきりしない従業員を使って会社を盛り立てた理由はいくつかありますが最も大きな要因は一人の従業員に最初から最後まで責任をもって仕事をさせる。すなわちすべての従業員が仕事のプロとして教育されることにあると思います。

 加えて給料は年功序列で定年なし。松浦氏によれば30歳くらいで入社すると40歳位から一人前と呼べるので、名人となった60代を辞めさせるなんて会社にとって大損失だそうです。年配の先輩職人が働くことにより父や母の姿をみた子供たちが入社してくるそうです。

 定年がないから将来に対して安心でいられる。年配者がプロ職人として働く姿は尊敬の念を持って受け入れられる。何より人間は信頼され任されることによって伸びるということの実例を見ました。

 スケールは違っても国も同じことです。一人ひとりが国を作っているのですから松浦さんのような会社が増えてくれば少しずつ国も変わってくるのではないか、と思います。松浦氏は自分の会社の中で社会保障と教育を達成した人です。

2009年8月4日