理で行動しない日本という国
郷原信郎さんの「思考停止社会」を読みました。郷原さんは法律の専門家として日本社会の問題点に対する訴えかけを行っている方人ですが、この本に書かれていることは分野は違っていても今の新型インフルエンザ対策に共通するコンセプトばかりでした。すなわち科学的なロジックスが無いまま重大な政策が決定されてしまうということです。
一般人が裁判結果の判定に関与する裁判員制度についての記述はとても興味深いものでした。自分の娘と娘の友達を死に追いやった畠山鈴香被告に対して、職業裁判官は「無期懲役」を言い渡しました。裁判官にとって被告を死刑にするかしないかは大きなプレッシャーとなります。しかしそれに耐えて法的に正当な判断を下すのが職業裁判官の職務です。
しかしながら裁判員制度は個人の感覚的なもの(かわいそうとかむごいとか)で判決が左右されるという大きな危険性をはらんでいます。
今回の新型インフルエンザ対策と裁判員制度には共通点があります。それはどちらもプロ集団が下した判断ではないということです。
5月4日付けの朝日新聞夕刊の「窓」にある「化学的議論が尊重されない国の行動は極端に流れやすい。次の(インフルエンザ)流行を前にこのことをかみしめたい」という文はまさに今の日本を象徴しているように思います。