緊急時のtwitter活用法?
先日、チリでM8.8 の大地震が起きました。
エネルギーはハイチ地震の約2倍というのですから凄まじいものです。
この地震の影響による津波が、
地球の裏側に届くかもしれないという情報が入りました。
何よりも早く、そして詳細に地震津波の情報発信したのは、
原口総務相でした。
原口氏はtwitterを通じてリアルタイムの情報を出したのです。
これに対して「なりすましにより嘘の情報が流れる危険性ががある」
という報道もされました。
当然、有名人であれば、その人の名を語った「なりすまし」が出てきて、
いい加減なつぶやきをする可能性もあります。
Webを使っての情報発信においてはtwitterに限らず、
情報が操作されるという危険ははらんでいることです。
しかし、今回の原口大臣の情報発信は、
国民が最も知りたい危険情報を瞬時に受け取ることが出来たという
大きなメリットがあります。
通常政府から発表される情報は、
内部で細かいチェックを受けてから外に出されるため、
外部の目に触れる頃にはすっかり旬を過ぎている事が多々あります。
Twitterの長所は何と言っても情報の瞬時性です。
緊急性の高いものが、政府の中枢にいる人間から発信される強みを
もっと利用してもよいのではないでしょうか。
2010年3月4日
公衆衛生学の夜明けをどれだけ待てばよいのだろうか
公衆衛生学の夜明けをどれだけ待てばよいのだろうか
厚生労働省医系技官 木村盛世
2010年2月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
------------------------------------------------------------------------------------
学習を伴わない行動は致命的である。行動を伴わない学習は無益である。
-メリー・ビアード-
ワクチンは何を目的に使われるのか理解しているのか、日本はワクチンを使う気があるのか。厚労省の対応を見ていると、そう質問したくなる。この根本的な議論をしないまま、文明開化で牛鍋を食べ始めたごとく、ワクチンを使い始めたのが日本であろう。
ワクチンは感染症の予防手段として生まれた。効果の度合いはワクチンによってまちまちである。共通していることは、副反応を伴うことである。副反応の頻度、重症度もワクチンにより異なるが、重篤な副反応の発生は通常、交通事故にあうよりは稀である。このリスクを理解して、国民全体の感染症被害を最小限にとどめる目的で導入するのがワクチン対策の基本である。言い換えれば公衆衛生学的ツールそのものだ。
100%効果のあるワクチンは、ワクチンだけで当該疾患を根絶できる。代表例は天然痘である。実際ワクチンの効果を調べるのは容易ではないが、効くワクチンは的確に使用すれば、病気の広がりを抑えることが出来る。
新型インフルエンザワクチンの効果については、新しい感染症なので誰にも本当の事はわからない。言えることは、インフルエンザのワクチンの予防効果は100%ではないということだ。また、ワクチンそのものの予防能力に加えて、複数の型が同時並行して流行することが稀ではないので、H1N1豚ワクチンの効果は本来の能力低くなる。
ワクチンとは十分な予防効果のあるものでなければ使用する必要がないが、効果が未知数であっても導入すべき場合もある。それが今回の新型ワクチンである。何故ならインフルエンザである以上、100%確実な予防法も治療法もないため、既存のツールを組み合わせて使うことが必要であり、ワクチンはその中で重要な位置を占めるからだ。
この基本路線に従えば、新型ワクチンを国民総数分そろえる事は政府が取るべき道である。もちろん最初は数が十分にそろわないため優先順位をつけて打ち始めるのは理解できる。しかし、予想していたよりもワクチン接種を希望する人が少なかった等の理由から、余剰分が出る現在に至っても、未だ優先順位を徹底し、希望者がいても摂取することができないという状況への厚労省の対応は、全く理解ができない。
新型インフルエンザが発生してから8カ月が経過した。先日WHOも最悪のパンデミック段階は終わったと声明を出したところだ。この間、我が国は何を学んだのだろうか。メディアがこぞって報道してきたものは、効果の限りなく薄い水際対策を繰り広げる検疫官の姿にはじまり、ワクチンの無駄は税金の無駄遣い、といった類のものばかりだ。しかし、本当に目を向けなければならないのはこんなことではない。
日本と欧米の対応を比較することが多いが、日本と他先進国との決定的な違いを知ることが必要だ。ワクチンの意義を理解していない厚労省の政策では、副反応に対する補償を含めた法的インフラがゼロに近い。これは他先進国との大きな違いである。これを見て、日本と欧米が同等の公衆衛生レベルを持っていると言えるだろうか?
副反応というリスクが伴うものに対して、「リスクはない」と言い続けるのは、国が訴えられることを回避するため、被害に対する補償を低く抑えるためであるが、重篤な副反応が起こった際に国や製薬会社を訴えることでしか問題解決が出来ないことがおかしいのである。なぜこんな話になるのかといえば、そもそも厚労省がワクチンの基本を理解していないからであろう。
基本がしっかりしていなければ応用はない。それは私たちが子供のころから学校で言われ続けていたことではあるまいか。九九ができない小学生に微積分の問題が解けないのと同じことである。
かつて根絶された天然痘のような古い感染症のみならず、まだ見ぬ未知の感染症は新たな脅威として私たちの前に立ちはだかっている。ハンセン病、薬害エイズ、肝炎など、厚労省は感染症対策で誤った道を歩んできた。今回の新型騒動は、我が国の厚生行政の基本土台がないことを改めて知らしめたわけだが、ここで己の無知を認識しなければ、国民が再び犠牲になる。第二、第三の薬害被害を生むことにもなりかねない。
「専門家の意見を聞いて今後に役立てたい」、というセリフが厚労省から発せられるのが常であるが、それは無駄である。何故なら、本当の公衆衛生の専門家は海外に流出しているからである。公衆衛生の要と呼べる疫学調査には莫大なお金と手間をかけたデータが必要だが、そのデータも医系技官が握って外に出さない現状を考えれば、研究者は食べていかれるわけがない。日本に公衆衛生の専門家がいないのはこのことが大きな理由である。
ゼロからの出発となる公衆衛生学を日本に根付かせるためには、海外からの専門家と共に教育システムの導入が必須である。毎年、ハーバード大学やホプキンズ大学といった世界のトップレベルの公衆衛生大学院に医系技官が留学する。彼らたちは能力があるから留学生として厚労省に選ばれるわけではない。国内ポリティクスの勝者だからだ。これでは日本の公衆衛生導入はいつまでたっても足踏み状態である。
彼らたちに多額の税金を費やすならば、いっそ欧米大学院を誘致してはどうだろうか。明治維新以来といわれる政権交代がなされたのだから、海外の公衆衛生大学院分校の設立などそう難しいことではあるまい。新政権下における、厚労省と文科省の初めての共同作業が、縦割り行政打開の大きな一歩となることは間違いないはずである。これこそ新政権がスローガンとして掲げている「脱官僚」ではあるまいか。
2010年2月25日
日本人の国連進出を阻むのは医系技官
平成の大本営 医系技官問題を考える (4)
厚生労働省医系技官 木村盛世
2010年2月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
-----------------------------------------------------------------------------------------
いかに多くの罪悪が「国家のために」という美名の仮面のもとになされたことか。
―マクドナルド―
2010年における我が国の国連分担金は12.5%と、アメリカ合衆国の22%に次いで世界第2位である。分担金の割合は国連におけるその国の職員数に比例するのが当然であるが、日本はこれだけ多くの出資をしながら、自国の職員数がきわめて少ないのが現実である。
国連人事担当者によれば、少なくとも130人の日本人国際機関職員が必要だといわれている。ここでいう日本人職員とは、正規の試験を受けて合格した人の事である。試験を受けないで国連で働いている日本人もいるが、彼らたちは国連外の組織が身元引受人となって送り込まれたひも付き出向者である。出向であるから、給料は所属組織持ちである。
国連には様々な組織があるが、医療問題を担当するのがWHO(世界保健機関)である。WHOも他の国際機関の例にもれず、日本人職員が少ない。特にP(プロフェッショナル)-5という外交官特権を持つポスト以上の正規職員はほとんど見受けられない。P‐4とP-5という2つのレベルの間には大きな差がある。P-5は外交官特権が与えられるので、税金や待遇において格段に恵まれている。そして、高々1つのレベルの差とはいっても、正規職員が4から5へ出世するのはたやすいことではない。P-4の中でもまたレベルが分かれているからだ。
このような状況下で、難関といわれる試験も受けず、語学にも大いなるハンデキャップがあるにも関わらずP-5 以上のポストに座る日本人がいる。彼らたちは厚労省からの出向の医系技官だ。現在WHOには地域事務局を含めて4人の厚労省出向者がいるが、彼らたちのWHO内での評判は極めて悪い。
実際にWHOの外国人職員から聞いた話では、2年間の出向期間の毎週末、ヨーロッパの各都市を旅行し、秘書に2枚の報告書を書かせて帰った医系技官がいたそうである。帰国後、厚労省の幹部となり既に天下りをしている人物である。
この話だけでもかなりのショックだったのだが、それを上回るスキャンダラスな話が舞い込んだ。現職のWHO西太平洋地域事務局(WPRO)課長のK氏が、セクハラ・パワハラを繰り返し、他国のWHO職員から内部告発されたのである。WHO内で表ざたになっている事例としては、課内の会議で仕事のレベルを皆の前で罵倒され続ける、説明が下手で頭がよくない、履歴書の記載を偽っていると皆の前で繰り返し責められ続けるなどがある。あまりの酷さに精神科受診するものも出ている。女性への嫌がらせの他、自分や厚労省にとって有利な人物を着任させるために、厚労省外の機関からの出向者に対して執拗な嫌がらせを繰り返し、日本に帰国させた例もある。
K氏の所業はセクハラ・パワハラだけにとどまらない。2009年9月のマニラ台風被害に際して欧米諸国が援助を申し出たのを受けて、日本も災害援助に加わることが決まりかけていた。こともあろうにK氏は日本大使館を通じて横やりを入れ、日本の支援参加を帳消しとしたのだ。また、WHOラオス事務所が提案・準備していた、鳥インフルエンザ対策のための食品衛生・人類共通感染症プロジェクトを阻止しようとした。
何故K氏はこのような行動をとるのだろうか。セクハラ・パワハラに関しては自分の権威を知らしめたいという個人的な欲望とともに、厚労省の医系技官の存在の大きさを国際機関に知らしめようとした意図が感じられる。また、他の機関からの出向者を排除することにより、自分自身がより上級なポストをつかみたいと考えたのかもしれない。
実際、K氏の行動はひも付き元である厚生労働省からは高く評価されている。厚労省大臣官房国際課から任意拠出金としてWPROに提供される資金は年間約6億円である。このお金は30程のプログラムに振り分けられるが、この数年間、拠出金総額が変化していない中、K氏の割り当て分だけは、2008年の4800万円から、2010年は8800万円と急増しているのである。2010年には全拠出金の約6分の1がK氏の割り当てとなっている。
厚労省の意図とK氏の野望が一致した悪代官劇さながらの悪行ぶりの結果、どのような影響が生じるだろうか。
WHOは国際機関であるから様々な国籍の人たちが働いている。K氏に対する告発が、外国人職員から発せられた事実を考えると、医療分野での国際活動において我が国の信頼失墜という好ましくない状況を生むことになる。ただでさえ札びらで頬を叩くような金に任せた日本の国際支援が問題となっている中、K氏の事例は日本のイメージを更に悪くすることはあっても良くすることはない。
文頭にも述べたように、WHOには厚労省以外の職員もいる。正規の試験を受けてきた人たちは極めて優秀である。それにも関らずK氏のような事例が放置されることにより、厚労省と全く関係のない日本職員たちも色眼鏡で見られることになりかねない。また、今後国際機関を目指す日本人にとって、採用決定の際マイナスの要因になる事は否めない事実である。
厚労省からWHOへ出向する場合、国内の給料と共に海外手当てが支払われるが、すべて税金から拠出される。国際機関での日本職員の役割は、出向であるなしに関わらず、我が国の国際社会での位置づけを高めることにある。しかし、K氏だけでなく、今までの厚労省出向者の働きぶりはそれとは全くの逆効果をもたらし続けている。
日本人は秩序と和を尊ぶ国民性をもっている。ところが一たび海外に出ると、「旅の恥はかき捨て」よろしく、モラルを逸脱した行為に走ることがしばしば見受けられる。いくらK氏が英語能力に堪能だとしても、今までの動向をうかがう限り国際感覚ゼロとしか言えないだろう。
K氏の例は、きわめて悪質な破廉恥行為である。しかし、彼は特殊症例ではない。K氏のような国際感覚ゼロの医系技官が作り出したWHO内での風評によって、WHOのみならず他の国際機関においても同様の日本人職員イメージが形成されてしまうのだ。
国連の日本人職員は少ない。増やす必要がある。しかしその背後には、本来ならば積極的にWHOの日本人職員登用に資するべき医系技官が、己の利益を国策とすり替えて行動している現実が見える。健全な国連の日本人職員を増やすために、新政権は、日本から遠く離れた地で公然と行われている医系技官の利権のむさぼりを徹底的に検証し、排除するべきである。
2010年2月8日
節分という節目
今年も早2月、加速を増して過ぎてゆく一年の速さを再確認しています。
2月3日は節分の日ですが、邪気を払い福を呼び込む行事として行われてきました。
何故この時期なのか、と言えば、季節の変わり目には邪気が入り込みやすいから
という理由だそうです。
おそらく、四季の中で一番変化が起こるのは冬から春に移る時なのでしょう。
社会的にも、日本相撲協会の内情や政治家の金にかかわる問題などが紙面を
賑わせています。
冬から春への変化は人間の身体にも大きな影響を与えます。厳しい冬を越した
エネルギーの消耗とともに、一種の安堵を感じるからではないでしょうか。
邪気は外から来るものだけではありません。むしろ自分の弱さや不安定さから
来る内なる要因が最大の敵でしょう。
暦では明日から春。私も内なる邪気に負けないで進んでいこうと思います。
2010年2月3日
医師への不当な行政処分を阻止すべき ―長妻厚労大臣への要望提出のお願い―
「医師への不当な行政処分を阻止すべき ―長妻厚労大臣への要望提出のお願い―」
井上法律事務所 所長・弁護士 井上清成
2010年1月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
----------------------------------------------------------------------------
【要旨】
2010年1月19日、エムスリー「医療維新」に、「根拠ない、医師への不当な行政処分に異議あり」(厚労省が「刑事無罪」が確定した女子医大事件医師への処分を検討)、「『厚労官僚の火遊び』を許すなー虎の門病院・小松氏」(佐藤医師への「弁明の聴取」が先例になれば、医療体制は崩壊)という2つの記事が掲載されました。医師法・行政手続法に基づく「弁明の聴取」が行われるということは、医師への医業停止処分か戒告処分という行政処分が行われるということです。「弁明の聴取」は来週早々にも予定されているとのことです。それが実施されて行政処分がされれば、昨年末にやっと独立開業したばかりの佐藤医師はどうなってしまうのでしょう。報道によれば、その「弁明の聴取」はある一人の厚労官僚の独走の結果である恐れがあります。筆者自身は、冤罪被害にあった佐藤医師が再び冤罪に問われてはならないと思い、厚労官僚の独走の有無を内部調査するよう、長妻厚労大臣に宛てFAXで1月19日夜に下記の要望書を提出しました。官僚主導によって医師への無限定な支配統制がなされてはなりません。医師への不当な行政処分を阻止するため、多くの方々が長妻厚労大臣に要望を提出していただくことを期待しております。ご参考までにサンプルを下記に添付しておりますので、よろしければお使いいただいて、要望書を提出してください。
【長妻大臣へ提出した要望書】
厚生労働大臣 長妻 昭 殿
FAX 03-5342-6552
井上法律事務所 所長 弁護士 井上 清成
佐藤一樹医師に対する医師法・行政手続法に基づく
強制的な「弁明の聴取」手続の実施延期等を求める要望書
平成22年1月19日付けのエムスリー「医療維新」での「根拠ない、医師への不当な行政処分に異議あり」という報道記事によれば、東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児外科元助手の佐藤一樹医師が、厚生労働省による医師法に基づく行政処分を前提とした行政手続法所定の弁明の聴取手続の対象とされていて、近く強制的な弁明の聴取手続が実施される、とのことです。佐藤一樹医師は、かつて人工心肺装置の操作に過誤があったとして刑法第211条第1項所定の業務上過失致死罪で刑事起訴されて被告人となったものの、東京地方裁判所で無罪判決、東京高等裁判所でも無罪判決を得、検察が上告を断念して無罪が確定した冤罪被害者です。しかるに、やはり同日付けエムスリー「医療維新」での「厚労官僚の火遊びを許すな」という記事によれば、厚生労働省医政局医事課の杉野剛課長が医師資質向上対策室の反対を強引に押し切り、一定の行政処分を目指した強制的な弁明の聴取手続を進めようとしているとのことです。しかしながら、この他部署の反対を押し切ったという強制手続の強行は、もしもその事実上・法令上の根拠付けが十分でなかったものであるとしたならば、刑法第193条に定める公務員職権濫用罪(公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮に処する)に該当する恐れすらあります。
長妻昭厚生労働大臣におかれましては、まず第一に、佐藤一樹医師に対する弁明の聴取手続を延期し、第二に、弁明の聴取手続実施の事実上・法令上の根拠の有無・程度、ならびに、場合によれば佐藤一樹医師への公務員職権濫用罪にも該当しかねない杉野剛課長による強制実施の判断・指示の有無、さらに、もしも真実であるならばそこに隠された意図及び背景事情を調査し、第三に、それら調査結果を踏まえた適切な措置を採られることを、ここに要望いたします。
佐藤一樹医師の基本的人権侵害に関する緊急重大事ですので、甚だ失礼ながら、直接に本書1枚をFAXさせていただきました。よろしくお取扱いのほど、お願い申し上げます。
(なお、私は、弁護士ではありますが、佐藤一樹医師の代理人ではありませんし、本件につき佐藤一樹医師とも東京女子医科大学とも利害関係を有していない第三者です。念のため、申し添えます。)
【一般の方が長妻大臣へ要望書を出す場合の例】
佐藤一樹医師に対する医師法・行政手続法に基づく強制的な「弁明の聴取」手続の実施延期等を求める要望書
平成22年1月19日付けのエムスリー「医療維新」での「根拠ない、医師への不当な行政処分に異議あり」という報道記事によれば、東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児外科元助手の佐藤一樹医師が、厚生労働省による医師法に基づく行政処分を前提とした行政手続法所定の弁明の聴取手続の対象とされていて、近く強制的な弁明の聴取手続が実施される、とのことです。佐藤一樹医師は、かつて人工心肺装置の操作に過誤があったとして刑法第211条第1項所定の業務上過失致死罪で刑事起訴されて被告人となったものの、東京地方裁判所で無罪判決、東京高等裁判所でも無罪判決を得、検察が上告を断念して無罪が確定した冤罪被害者です。しかるに、やはり同日付けエムスリー「医療維新」での「厚労官僚の火遊びを許すな」という記事によれば、厚生労働省医政局医事課の杉野剛課長が医師資質向上対策室の反対を強引に押し切り、一定の行政処分を目指した強制的な弁明の聴取手続を進めようとしているとのことです。しかしながら、この他部署の反対を押し切ったという強制手続の強行は、もしもその事実上・法令上の根拠付けが十分でなかったものであるとしたならば、刑法第193条に定める公務員職権濫用罪(公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮に処する)に該当する恐れすらあります。
長妻昭厚生労働大臣におかれましては、まず第一に、佐藤一樹医師に対する弁明の聴取手続を延期し、第二に、弁明の聴取手続実施の事実上・法令上の根拠の有無・程度、ならびに、場合によれば佐藤一樹医師への公務員職権濫用罪にも該当しかねない杉野剛課長による強制実施の判断・指示の有無、さらに、もしも真実であるならばそこに隠された意図及び背景事情を調査し、第三に、それら調査結果を踏まえた適切な措置を採られることを、ここに要望いたします。
佐藤一樹医師の基本的人権侵害に関する緊急重大事ですので、甚だ失礼ながら、直接に本書1枚をFAXさせていただきました。よろしくお取扱いのほど、お願い申し上げます。
住所
氏名
2010年1月21日
「厚労官僚の火遊び」を許すな
「厚労官僚の火遊び」を許すな
佐藤医師への「弁明の聴取」が先例になれば、医療体制は崩壊
虎の門病院 泌尿器科部長 小松秀樹
2010年1月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
----------------------------------------------------------------------------
【弁明の聴取】
佐藤一樹医師への、行政処分を前提とした「弁明の聴取」が近日中に開かれるとの情報が入った。この「弁明の聴取」は、中世の暗黒を現代にもたらし、医療の存立を脅かす。暗澹たる気分になるとともに、厚労官僚に対する歴史的かつ哲学的な憤りが短時間で意識されるに至った。
佐藤医師は、東京女子医大病院事件で、冤罪のために、90日間逮捕勾留された。7年間の刑事被告人としての生活を強いられた。心臓外科医としてのキャリアを奪われた。昨年、無罪が確定した。この冤罪被害者である佐藤被告に対し、行政処分を実施しようというのである。
【検察の論理は援用できない】
厚労省に、佐藤医師に対する処分を正当化できるような精度の高い独自の情報があるとは思えない。しかも、公判での検察の主張の一部を援用することには、決定的な問題がある。検察の主張は、科学者の事実に対する態度とは全く異なる。被告人に有利な事実をしばしば隠してきた。福島県立大野病院事件では、自ら作成した調書に墨を塗って読めないようにした。佐藤医師の裁判では、論理が完全に破綻したために、訴因(犯罪であるとする理由)を第一審の途中で変更した。第一審、第二審いずれも、検察の完敗で、上告断念に追い込まれた。検察は無茶な論理を平気で振りかざす。検察は、裁判官と弁護士の存在を前提としており、その存在がなければ、簡単に社会の敵になる。
【恣意的処分】
医療事故調査委員会(医療安全調査委員会)をめぐる厚労省と現場の医師の争いに象徴されるように、この数年間、厚労省は一貫して、医師に対する調査権限、処分権限の増大を模索してきた。医師に対する行政処分は医道審議会で決定されてきた。従来、行政処分は、刑事処分が確定した医師など、処分の根拠が明確な事例に限られていた。医道審議会は、処分1件当たり、5分程度の審議だけで、事務局原案をそのまま認めてきた。慈恵医大青戸病院事件を契機に、刑事罰が確定していない医師にも処分を拡大してきたが、基準が明らかにされていない。これは、罪刑専断主義による恣意的処分と言い換えることができるかもしれない。
【毒を食らわば皿まで】
医道審議会の状況から、行政処分と「弁明の聴取」の推進者は、実質的に調査権と処分権の両方を持つ。江戸時代の大岡越前守と同じである。当然、このような乱暴なやり方を職権濫用とみなす批判があり得る。推進者もそれを熟知している。強制的な調査を行って処分をしなければ、逆に、職権濫用罪の嫌疑を証明することになりかねない。自分を守るために、無理にでも処分したくなることは想像に難くない。裁判官がいない中で処分を行うことが、いかに難しいか容易に想像される。
【法の下の平等】
今回の「弁明の聴取」は極めて異例なものである。そもそも、政府の行動はすべて法律に則っている必要がある。法律は全国民に対して平等でなければならない。通常業務と異なることを実施する場合には、相応の理由、正当性が必要である。平等のためには、個別事例を特別に扱うことに慎重でなければならない。そもそも、厚労省は、調査権、処分権を含めて、自らの権限を拡大しようと組織的に動いている。どうしても、この事件が実績作りに利用されているように見えてしまう。今回の「弁明の聴取」は、法の下の平等に反するのではないか。
【行政の行動原理】
厚労省が医師を裁くことには、社会思想史的な問題がある。厚労省は「正しい医療」を認定できるような行動原理を持ちえない。
ヘルシンキ宣言は「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」として制定されたが、医療全般について医師が守るべき倫理規範でもある。実質的に日本の法律の上位規範として機能している。その序言の2に「人類の健康を向上させ、守ることは、医師の責務である。医師の知識と良心は、この責務達成のために捧げられる」と記載されている。医師は知識と良心によって行動するのであり、命令によって行動するのではない。法が間違っていれば、これに異議を申し立てる。
これに対し、厚労省は「医学と医師の良心」によって動いているわけではない。法令には従わなければならず、しかも原則として政治の支配を受ける。メディアの影響も当然受ける。確固たる行動原理を安定的に持ち得ないため、ハンセン病政策のような過ちを繰り返してきた。
第二次世界大戦中、ドイツや日本の医師の一部は国家犯罪に加担した。多くの国で、医師の行動を国家が一元的に支配することは、危険だとみなされている。
公務員は原理的に国家的不祥事に抵抗することができない。この故に、行政は、医療における正しさというような価値まで扱うべきではない。明らかに行政の分を超えている。医学による厚労省のチェックが奪われ、国の方向を過つ可能性がある。
【チェック・アンド・バランス】
立法・行政・司法は法による統治機構を形成する。法は理念からの演繹を、医療は実情からの帰納を基本構造とする。両者には大きな齟齬がある。
厚労省は、実情に合わない規範を現場に押し付けてきた。このため、現場は常に違反状態に置かれてきた。頻繁に立ち入り検査が行われ、実際に処分を受けないまでも、その都度、病院は担当官から叱責を受ける。厚労省は、いつでも現場を処分できる。
厚労省の方法は、旧ソ連を想起させる。旧ソ連では物資不足のため、国民は日常的に、勤務先から物資を持ち出し、融通しあって生きていた。国民全員が何らかの違法行為を犯さざるを得ない状況下で、政治犯を経済犯として処罰していた。このようなやり方が国民と国家をいかに蝕んだかは想像に難くない。
しかも、厚労省は、常に、権限と組織を拡大しようとする。厚労省は困った性質を持っており、チェック・アンド・バランスがないとかならず有害になる。チェック・アンド・バランスの考え方は、市民革命を通じて一般化したが、日本では力を持っていない。
【一般厚労行政への影響】
処分は通常の行政とは大きく異なる。厳重な秘密保持も求められる。このため、厚労省主導で処分を実施しようとすると、担当部署は他の部署との間に障壁を設けなくてはならない。しかし、いかに障壁を設けても、厚労省と医師の関係が悪化し、医療行政に支障を来たすような事態は容易に生じうる。佐藤医師への「弁明の聴取」が先例となれば、医師は行政を悪とみなすようになる。厚労省は医師の敵になる。行政は医師の協力を得るのが困難になり、医療行政は立ち行かなくなる。結果として、医療提供体制が損なわれる。
【結論】
個人的に得た情報では、行政処分の事務を担当している医師資質向上対策室は、佐藤医師への行政処分と「弁明の聴取」に反対したとされる。それを、医政局の杉野剛医事課長が強引に押し切ったという。これが本当なら医療提供体制が破壊されかねない。厚労大臣は、事実関係とその背景を調査すべきである。
そもそも、佐藤医師への行政処分は「改竄への加担」が理由だとされるが、舛添要一前厚労大臣の著書『舛添メモ 厚労官僚との闘い752日』(小学館)によると、厚労省の官僚は、日常的に、大臣への報告で、事実を捻じ曲げている。それでも処分されていない。厚労官僚の行動は危うい。チェック方法と適切な処分のあり方を検討すべき状況かもしれない。
2010年1月20日
厚労省が医師を敵にまわす時
厚労省が「刑事無罪」が確定した女子医大事件医師への処分を検討しています。
2001年3月の「東京女子医大事件」で業務上過失致死罪に問われたものの、2009年3月の東京高裁判決で無罪が確定した医師、佐藤一樹氏に対し行政処分を行うために「弁明の聴取」を近く実施する予定であることが、このほど明らかになりました。
従来、行政処分は、刑事裁判で罰金刑以上の刑が確定した医師などに限られてきましたが、数重なる医療事故報道にともない行政処分の枠も拡大されてきました。しかし、その処分がどの例に課せられるかは明確でなく、何らかの偶然で厚労省の目にとまったものだけが裁かれるという状況です。
佐藤氏の例は冤罪です。加えて、9年前に起こった事例に対しての聴取は、行政処分の事務を担当している医師資質向上対策室は反対したそうです。にも関わらず、医政局の杉野剛医事課長が強引に押し切ったといいます。これが本当なら職権濫用甚だしいものです。
厚労省は国民の健康、医療問題を扱う唯一の省庁です。国民の健康と医療は現場の医師なくしてはあり得ません。今回の佐藤氏の事例は医師を敵にし、力で臨床医を服従させようとする意図が働いていると考えざるを得ません。
このような異常事態に対して、政治家も、心ある官僚も、そして国民も目を伏せていてよいものでしょうか。
2010年1月19日
天下り探しに躍起になる医系技官たち
MRICから興味深い記事が発信されました。
自分たちの温床を求め続ける医系技官幹部たちの姿は「指輪物語」で指輪に群がる邪鬼たちを彷彿させます。
**********************************************************
「NC独法化の裏で着々と進められる天下り財団保護」
大岩睦美 (医療・法律研究者)
2010年1月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
---------------------------------------------------------------------------------------
1 ナショナルセンター人事の裏で暗躍する医系技官
ナショナルセンター独法化は、権益を守ろうとする医系技官と仙谷改革の攻防の狭間で、法令事務官が二兎を追い、揺れ動きつつも、昨年12月28日にようやく理事長の公募開始へ漕ぎつけた。しかし、その陰に隠れて二日後の12月30日に「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律施行令(仮称)」のパブコメ募集が開始された。
(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=495090255&OBJ)
内容としては、ナショナルセンターが独立行政法人化するにあたり、独法関係法の対象に6NCを加えるというものであり、一見すると単なる組織変更に伴う機械的な改正のように見える。
しかし、今回のナショナルセンター独法政令(案)は、実は官僚の天下り財団保護を目的としたものであり、およそ許容できないものであるので報告する。
2 天下り財団保護法
即ち、今回改正に係る「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」第十三条1項は、NCの特許権の行使等を行う者(TLO)が、厚生労働大臣の認定を受けることができるというものだが、事実上、特定の天下り財団のみが認定される。天下り財団を保護するための条文と言うことができる。
3 TLOとは
ナショナルセンター独法化の3大メリットの一つとされている知財の推進に関して、TLOの果たす役割は非常に大きい。
即ち、TLOの事業とは、研究所等でつくられた発明等シーズを実際の製品にして世の中に出すための仲介役の機能を果たすものである。
今までは、公的研究所内で折角成果が出たとしても、公的研究機関には、特許化するノウハウもなく、成果を開発して製品化してくれる企業を探してくる能力もないため、世に出ることは稀であった。
国立大学の独法化(大学法人化)に際して、やはり知財の推進は大きな柱として挙げられ、各大学が認定TLOをつくり、大学発シーズの製品化に大きく貢献している。
4 ナショナルセンターTLO
一方、現在、6ナショナルセンターのTLOは、厚労大臣認定TLOであるヒューマンサイエンス財団が担っている。
ヒューマンサイエンス財団は、その事業として1)政策創薬総合研究事業、2)厚生労働科学研究推進事業、3)厚生労働大臣認定TLO事業、4)研究資源供給事業、5)一般事業他を行っており、理事長には下田智久氏(元厚労省健康局長)が入り実権を握っているという典型的な「天下り財団」である。
ヒューマンサイエンス財団がTLOを担当する研究機関は6ナショナルセンターに加え国立医薬品食品衛生研究所、国立保健医療科学院、国立感染症研究所、国立身体障害者リハビリテーションセンター、独立行政法人国立病院機構他3施設と膨大である。しかし、ヒューマンサイエンス財団には高齢の弁理士が一人しかおらず、およそ十分な業務が行える状況ではない。
実際ほとんどコンタクトもとれず、依頼をしても数カ月たなざらしといったことも多々あるため、多くの研究者から「独法化してもヒューマンサイエンス財団にTLO機能を頼まなければならないのか」という意見が出ている。
5 本改正の内容
今回の改正は、下線部のとおり、非公務員型の独法化をするにも関わらず、TLOの認定権限のみを厚労省に残すという内容である。
そして、その実は、ヒューマンサイエンス財団を引き続き認定TLOにすることで、医系技官が自らの天下り先を保護するというものである。
ナショナルセンターは独立行政法人化するにもかかわらず、旧国立大学とは異なり、自由にTLOを選ぶこともできないばかりか、使い勝手の悪い天下り財団のTLOを使い続けなければならず、官僚支配が存続することとなる。
6 更なる脱官僚を
本改正には、自民党政権下において、幾度となく繰り返されてきた渡り、談合、天下りといった官僚統治の宿唖が凝縮されている。
本来、行政府は、法を執行するだけの機関であり、立法機能は議会が有するというのが三権分立の基本精神である。しかし、現在の日本では、ルールを作る側とそれを執行する者が一体化してしまったため(行政府の肥大化)、行事が相撲を当たり前のようにとる状況となってしまった。
政権交代をして、脱官僚を謳っている中、このような天下り財団保護のための改正が堂々と、しかもナショナルセンター理事長公募の二日後に出ていることは由々しき事態である。と同時に、医系技官は未だに陰でこそこそと隙あらば天下り先を確保しようとしていることを忘れてはならない。
政治主導への改革は緒に就いたばかりである。長妻大臣も、阿曽沼・医政局長(法令事務官)も、武田・政策医療課長(法令事務官)も、医系技官の操り人形とならぬよう、国民目線の改革を肝に銘じていただきたい。
2009年1月7日
上田局長へのクリスマスカード
本日付で、上田健康局長(cc:三浦厚生科学課長)にメールを出しました。
上田博三局長殿
前文ごめんくださいませ。
私は厚生労働省に採用されて以来、厚労省が本当に国民の方を向いて仕事をしているのかという問題提起をしてきました。
しかしながら内部での議論は皆無に等しく、声を上げるたびに左遷と言う形で厄介払いされてきました。
新型インフルエンザに対しては2009年5月28日、検疫所という現場で働く立場から国会での発言に至ったのですが、その前の5月25日に民主党鈴木寛参議院議員とのやりとりがありました。
鈴木議員「木村氏は(政府の方針に)はっきりと異を唱えている。厚労省はこの意見をどのように把握し、どのように扱われたのか」
(中略)
上田局長「私は上司なので・・・・・・・。(上司が部下を呼ぶと)公平でないので・・・・・・・」
鈴木議員「(新型の方針に関して国からの)ダブルメッセージになっているので整理してはいかがかといっている」
それ以来上田局長から私を呼び出して事実確認等はありません。
新型インフルエンザ対策含め厚労行政に対して、私がメディアやtwitter等の媒体を通してしかか発言できないことがおかしいと思っています。
この事については、上司である東京検疫所東京空港検疫所支所長などにもきちんと伝えてあります。
5月25日からの約7カ月、私は上田局長がいつ私をお呼びになるかと待っておりましたが、12月24日現在何の動きもありません。
そのため本日上田健康局長に御面会をお願いしたくメール差し上げる次第です。
ご多忙とは存じますが、本件についての話し合いについて御都合のよい日時をお知らせくださるようお願い申し上げます。
かしこ
2009年12月24日
厚生労働省東京検疫所
東京空港検疫所支所
検疫衛生・食品監視課
検疫医療専門職
木村 もりよ
事業仕分けに思うこと
行政刷新会議WGによる事業仕分けが世論を賑わせています。とても新しいことのように見えますが、実際は財務省主計局が行っている予算編成を公開で行っているだけです。
予算決定のプロセスと、税金の無駄使いをなくすという意味では事業仕分けは意義のあることだと思います。しかし物事には良い面と悪い面が必ず存在します。
大きな懸念は無駄をそぎ落とすことに躍起になり、必要なものまで削ってしまうこと、仕分けの対象とならなかったことが実は本当に無駄なこと、といったことが問題点として挙げられます。
必要な部分まで削られかかっているのが診療報酬です。医療の部分だけは聖域化するな!という意見はもっともですが、これ以上診療報酬を削れば、国民が医療を受けたい時見てくれる医師はいなくなります。そして今のアメリカのように富裕層だけが現状レベルの医療を受けられるということになりかねません。国民の大多数がこうした状況を望んでいるかどうかは、政府が国民に問う必要があります。
それから、仕分けの対象とならなかった事業についてはどうでしょうか。子ども手当、高速道路無料化など、国民の意見を反映しているかどうか疑わしい事項がマニフェストに含まれています。マニフェストは選挙の際の公約ですが、民主党に国民が投票したのはマニフェストに挙げられているすべての事項を国民が望んだというのは明らかな誤りです。ですから、マニフェストを事業仕分けの聖域として扱うのは問題でしょう。
仕分けは切り落とす作業です。もちろん切らなければならない部分を削除するのは必要なことですが、事業仕分けが単なるパフォーマンスとなっては意味がありません。実際、事業仕分けは法的決定権を持たないのですが、世論的にはそれ以上のインパクトがあるかもしれません。
民主党に国民が望んでいるのは再生であり崩壊ではありません。それを期待して民主党が支持されたということを忘れないでほしいと思います。
2009年11月22日
平成の伏魔殿‐厚生労働省‐
11月6日の参・予算委で舛添議員から新型インフル対策本部に関する言及がありましたが、その発言の背景には厚労省の機能不全があります。
■ワクチン行政の役割分担
○大臣官房 厚生科学課(医系技官の人事課)
感染研の所管:感染研では国家検定をやっているが、国家直営なので、非効率的。
時代錯誤的で、必要性に疑問もある。
○健康局(←旧公衆衛生局) (上田博三氏が局長)
・感染症課
予防接種法(法定接種)の施行、感染症対策としての予防接種の総論(どのワクチンを法定接種にするかといった検討会をするなど)、法定接種の接種事故、副作用の救済を行う。
○医政局(←旧医務局) (医系技官が局長・課長;舛添議員がが史上初の法令事務官の局長に変更)
・指導課:現場の接種体制の確保
・研究開発振興課:ワクチンの研究開発・・・メーカーとのやりとり
○医薬食品局(←旧薬務局) (法令キャリアが局長)
・審査管理課(薬系が課長):ワクチンの審査方針等、緊急承認、製造業の許可、(実際の審査は、PMDAとも更に縦割り)
・安全対策課(薬系が課長):ワクチンの安全性・医薬品としての副作用対策(ワクチン由来の欠陥)
・血液対策課(医系が課長):ワクチンの生産、流通、供給の確保
○保険局
ワクチンの保険収載
■ワクチン行政の縦割りの弊害
○法定接種の拡大に否定的(国の責任を回避)したい健康局
←ワクチンの確保、流通をする医薬局(メーカーに言われてどんどん接種を推進したい)
○安全性のデータをたくさんほしがる健康局
← 一定の治験で安全性は大丈夫ということもある医薬局。しかし、安全性にはかなり慎重になっている。
○認可を急がせたい健康局
←審査に慎重な医薬局
○輸入に反対?の医薬局
←供給量は必要な健康局、供給体制は必要な医政局
すなわち船頭多くして、「司令塔」不在なのです。主導権が不明で、消極的権限争いばかりです。国のワクチン買い上げも押し付け合いの結果、血液対策課がおしつけられました。
局が縦割りだからという理由もありますが、今回のような危機管理的な事態に対して、各局の分担体制が機能していないのが最大の問題ではないでしょうか。
2009年11月7日
記者クラブの舞台裏
一記者のつぶやきです。ご本人の了承を得てほぼ全文掲載します。
記者クラブの記者は、役所の仕事を世の中に伝えることが仕事だと勘違いし ているので、悪意なくリークを求めます。
役所で聞いたことだけで1面トップを書くことができて楽なので、喜んで言 うなりになるのです。
役所側は、あなただけだよと言いながら、記者のタイプに合わせて「平等」 にリークします。信頼関係なんてウソなのですが、お互いの利益のためにそう いう虚構の上にいます。
一番気をつけないといけないのは、個別に開く記者会見というより、「懇談」です。
お茶とケーキ、夕方ならビールやウイスキーを出しながら、局長室などでよ もやま話をするわけです。
もちろん、記事になる「おみやげ」も用意しているので、記者は終わったら すぐにパソコンに向かうことになります。「厚労省幹部は」などという匿名の 記事が一斉に載るのは、だいたいがこのパターンです。
私などは、酔ってからんだので嫌われました。(笑)
いくら懇談をしても言うことを聞かない記者、記者会見でKYで質問する記 者がいると、1人で局長室などに呼ばれます。
私は、個別のテーマを持たない時には取材を申し込まなかったのですが、と にかく来てよ、と言われます。
誘いに乗っていくと、それとなく、「特ダネ」をくれます。
これを書いたらおしまいです。リークのサークルに入ることになります。
書かずに放っておくと、ある日、同僚から「どうして書かないのか」といわれます。
同僚は、役所の中をご用聞きをして回っているわけですから、聞かれるわけです。
「みんながいるところで質問なんかしないで、来てくれたら話すのに」と、 同僚を介して言われたこともあります。
そんなネタを書くつもりはない、と言うと、「せっかくだから書いておいて、批判は批判ですればいいのに」と言われるわけです。
そういうことに応じず、それでも自分で調べて書いていると、そのうち、キャップに刺されたり、デスクに告げ口をされたりします。やれ、態度が悪い、 間違ったことを書いている、一方的だと。
広報や上層部の連中は、長い人間関係の中で、本社にいる人間とも連絡をと っているので、いくらでも裏から手を回します。
とりあえず、記者会見より、懇談をやめさせることでしょうね。
記者会見なら発言者を明記するので、都合のよいことは言えませんから。
ダイレクトクオートされない記事が載ったら関係者から事情聴取するぐらい のことをすれば、すぐに止まると思いますよ。
2009年10月15日
天下りの温床
昨日、国立がんセンターで講演をしました。ナショナルセンターの独法化が進んでいる中、がんセンターも例外ではありません。
独法化は天下りの温床になる危険性がもっとも高いものです。今週の週刊朝日でも取り上げられていた、「骨髄バンク」はその縮図をもっとも生々しく示すものと言えます。
築地の一等地にあるがんセンターが、厚労省の天下りポストを増やすことにならないよう、国民もメディアも良く監視する必要があります。
2009年10月14日
国民の首をかけて仕事をする医系技官
前回のブログでも霞が関から率直な意見が出てきたことをよい事だとお知らせしました。その当事者である村重直子厚生労働省大臣政策室政策官は、本日発売のサンデー毎日で「厚労省は感染対策計画を放棄していた」と厚生労働省の政策を批判しました。
村重氏は東京大学医学部卒業後、米国べス・イスラエル病院で研修医として勤務するという才媛です。舛添大臣のお膝元にいる医系技官が上司である上田健康局長を批判するのはよほどの決断だとおもいます。
ところが、村重氏に対し「省内のインフルエンザ会議に出るに非ず」とか「村重氏の発言は頭にくる」といった文書とメールが行き交い、顔の見えない嫌がらせを受けているようです。私の時と同じように上田局長はじめとする医系技官幹部は直接話をすることはないのです。
もし村重氏の意見に間違ったところがあれば堂々と反論をするべきです。こともあろうに「内部告発者に対する制裁はしてはならない」としている監督官庁があからさまに制裁を行っているのです。
村重氏の行動は勇気あるものです。今の医系技官のトップは自分の首をかけず、国民1億人の命をかけて仕事をするのです。医師として許されるものではありません。本当に国民の命を思う人が排除される社会は病んでいます。世論がそれに気がつかなければ末期がんのように延命を図ることは不可能になるでしょう。
2009年9月2日
日本の仕組み 記事バックナンバー
これまで日本の仕組みについて掲載してきた記事のバックナンバーとなります。
■誰を選ぶか 2009年8月10日
□集団責任という名の無責任 2009年7月30日
■村上龍氏のブログから 2009年7月8日
□舛添大臣の医系技官改革 2009年6月27日
■理で行動しない日本という国
□地方自治の現場の声:滋賀県湖南市長の声 2009年5月28日