新型インフルエンザは白血病治療をできなくする
雑誌「選択」の7月号に、新型インフルエンザと輸血の記事が掲載されました。兵庫県の赤十字血液センターでは、献血者数が計画のわずか6割程度しか確保できなかったことが明らかになりました(朝日新聞5/23/2009)。関西での新型インフルエンザの感染の拡大により、外出を控える人が増え、献血が減ったことが原因とされています。
献血成分の中で赤血球製剤は保存がきくのですが、血を固まらせる血小板製剤はわずか4日間の保存しかできません。新型インフルエンザのパンデミックが発生した場合、血小板輸血ができなくなる可能性があるのです。
血小板製剤は、白血病に必須の輸血製剤です。血小板数を一定に維持しなければ、血液が固まらず脳出血や消化管出血など生命の危機になります。すなわちパンデミックが発生した場合はその地域では白血病の治療ができなくなるのです。
これに対する対策案として、輸血製剤の不活化技術の導入が検討されています。これは、特殊な処理を行うことにより輸血製剤中のウイルス、細菌、原虫などの病原体を殺す技術です。不活化技術の危機時状況時の最大の利点は、輸血製剤に混入している病原体を不活化することで、保存期間をのばすことができることです。たとえばソラレンは、血小板の保存期限を4日から7日に延ばすことができます(Transfusion. 44:320-9)。
不活化技術はEU諸国の一部では既に承認されています。アジアではシンガポールおよびタイなどで使用が許可されており、米国でもFDAに申請中です。しかし日本では「安全性に関するデータ集積は不十分」とされています。
この見解を示したのが日赤です。日赤は総裁に皇族を戴く天下り集団です。それゆえ厚労省は日赤に頭が上がりません。分野は違いますが財団法人結核予防会も同じような存在です。両者に共通しているのは己の利益追求だけが役割で国民の健康に帰するという意識は全く抜け落ちていることです。
はたして国民の健康を守るために何が必要なのか、そして不必要な組織であれば切り捨てる覚悟が必要です。官僚、政治家、メディアすべてが「木を見て森を見ず」に陥っています。日本の国益とは何か、国民を守るにはどうしたらよいか原点に戻って考える必要があります。
2009年7月3日