感情的になるワクチン論争の果て
WHOとカナダ政府が健常成人のインフルエンザワクチン1回接種を決めました。わが国でも1回打ちか2回打ちか、誰から打つのか、足りるのか、といった報道が毎日駆け巡っています。
果たして私たちは新型インフルエンザワクチンの効果についてどれだけ知っているのでしょうか。答えは「ほとんどわからない」です。
ワクチンは病気に罹るのを防ぐ、予防の意味で使われます。その効果は?というと、ワクチンを打つ、打たないの2つのグループに分けて、病気の発生の違いを比較することによってのみ知ることができます。
しかし、これだけワクチンに対する期待度が高まると、打たないという選択肢が受け入れられるかどうかという問題があります。それから、インフルエンザは他の種類のインフルエンザウイルスによる混合感染があったり、季節性ワクチン打ってあったり、と新型ワクチンのみの効果を調べるのは至難の業です。
重症化を防ぐと言っている人もいますが、何をもって重症化とするのかという問題があります。また、基礎疾患を持っている人は消炎剤や抗生剤、抗ウイルス薬使う場合が多いですから純粋にワクチンの効果を調べるのは無理でしょう。
それから、抗体価が上がるイコールワクチンの効果があるという議論も曲者です。先ほどの打った打たないの群の中で抗体価も調べて、罹らなかった群の抗体価が高かったというデータでもあれば良いですが、そんなものはどこ探してもないでしょう。
一つ言えることはインフルエンザワクチンは100%の予防効果はないということです。もし100%予防ができるワクチンなら既にインフルエンザウイルスは地球上から根絶しているはずです。
厚労省がやることは、何が何でも国産4社を守るべく1回接種にこだわるのではなく(このような基準は学会に任せればよい)、できるだけ国民全員にいきわたるようにワクチンを確保すべきことです。たとえ使わなかったとしても国民は全員分あるということで安心するからです。
国民にパニックを起こさせないことは危機管理の基本です。官僚が自分たちの既得権益を守ることに躍起になって肝心の仕事を忘れてしまっているようでは困ったものです。
2009年10月30日